車はアート

車は停まっている生き物だ

誰かが乗って 使いこなす時間よりも、彼らがひとりポツンと黙っている時間のほうが 遥かに長いんだよ


それにどうだろう? 運転する人が自分の車の外観を見て楽しむことはできるかな?

メーターと ミラーと フロントガラスぐらいしか 見ていない

悲しいかな ドライバーにとって車はアートじゃないように思えるね

でもそれはほんの一面のことだけ やはり車はアートなのだよ

駐車している時間が 停車している際に 車は街のアートとしての機能を果たす


都会に佇むレクサスが BMWが ポルシェが

見る人の心を楽しくさせてくれるのに 君もきっと同調してくれることだろう


車はアートなのだよ 見て楽しむものが車

車は見る人を楽しくさせる社会的役割を課せられている のかもしれないね

こと乗用車においては

 

 

 


だから車のデザインは大事だ

自動車メーカーには 年収1800万円ものカーデザイナー がいるのを知っている

デザイン部門の より上の役職の方だったら もっと高年収の人もいるだろう

それは一般の自動車メーカー社員の年収より もらっている数字だ

アートの機能は特殊だから 彼らデザイナーは アーティストのように給与体系が別なんだ


車はアート 車はアート

トヨタのエスティマは 日本刀の美しさをヒントにしたと聞いた

レクサスのLSは 運慶の仏像がアイディアだって?


日本の田園風景を走っていて様になる車って粋じゃないかな

アメリカのフリーウェイに 超ド級のモンスタートラックがいるのも

運送業っていうこと以上に はまりすぎていて もうアートの世界なんだよね

 

車は作業だけに 移動の手段だけに 使われる時代はもう終わった

これからの車は アートでなくちゃいけない

これからの車は 環境破壊の反対で何かを地球に 世の中に プラスをもたらす存在 でなくちゃいけない

技術的に環境改善の役に立てないのが車の宿命ならば アートの道があるじゃないか

 

アートであること そこから車は逃げられないよ

 

空を飛ぶ車

これは空を飛ぶ車のお話

名古屋とデトロイトを結ぶ直行便があるのをご存知だろうか?

わたしはまるで知らなかったから そんな便が飛んでいることを聞いて 耳を疑った

名古屋とデトロイト それは有名な都市同士ではあるけど

失礼ながら 東京やシカゴと較べれば まだ小さな都市だし

どうしてそんな中途半端な路線に 飛行機を飛ばしているのか

ちゃんと乗る観光客はいるのか 赤字になっていないのか

そんなことを真っ先に思い浮かべた

 

それが意外にとんでもないこと

このフライトに搭乗する ノースウェスト航空会社のキャビン・アテンダントは

時給にして50ドルもの高給取り になると聞く

いわゆる ドル箱路線 になっているのだ


その謎は簡単に解ける デトロイトは何の都市だ

アメリカの自動車会社の本社が立ち並ぶ アメリカ自動車産業の本拠地

一方で名古屋はどうか

ここには自動車業界世界一のトヨタ自動車がある

 

 

 


ノースウェスト航空のホームページで この路線の空席状況を調べてみるといい

変わった現象に気が付くはずだ 席はビジネスクラスから埋まってゆく

エコノミークラスは空席たっぷりでも 高価なビジネスクラスはいつも満席に近い

ちなみにこの路線にファーストクラスはない

景気の良い自動車業界の社員たちは

出張でエコノミークラスを使わず ビジネスクラスを使う


中規模の都市にスポットを当てた直行便 ビジネスクラスから埋まってゆくフライト

もうお分かりだろう

この路線は日米の自動車本拠地を結ぶ いわば自動車専用路線なのだ


これに近いものを探すと

成田とカルフォルニア州・サンノゼを結ぶ アメリカン航空の直行便は

ITの中心・シリコンバレーにつながる専用便だ

サンノゼから車で1時間の距離に サンフランシスコという大都市があるから

本来ならサンフランシスコ線で充分なのに

わざわざ設定されたのには 訳があるということだ


他はどうだ 名古屋と広州・天津を結ぶローカル路線があるが

これも トヨタ自動車専用路線みたいなもので

広州と天津にある現地のトヨタ工場へのシャトル便 のように見える

デトロイト線以上にあからさまなルートではないか


インドのバンガロールは 発展目覚しいIT産業と自動車産業の拠点だが

まだ日本からの直行便はない

インドの経済がますます急成長し トヨタ自動車が今まで以上に本気で

インドマーケットに取り掛かった時 おそらく名古屋からの直行便が飛び

その時は バンガロールのインド経済中心としての地位は 不動のものとなるだろう


自動車業界の経済関係が 飛行機の路線を生み出してゆく

ほら 世界中を飛んでいる飛行機の路線って 無意味に設定されたものじゃないよ

それぞれよく中身を見てゆくと どれも理由があって飛んでいるものなのだから


未来の自動車を占うなら どの都市間に新規路線を飛ぶかを予想してみるといい

車の将来を担う企業や都市 そこに必ず需要は生まれて

人の動き・経済の流れを証明するものとして 直行便が飛ぶ

クルマ路線って面白いよね 実は名古屋⇔デトロイトの路線なんて 王道中の王道で

それ以上の自動車業界の流れは 今のところない

それがBRICsやアジア経済の台頭で 変わってゆく日も いつか訪れるのだろう


未来の自動車は 陸路だけを走るのではない

見えないところで 空路にも影響を及ぼして 飛ぶのは飛行機でも

その核で飛んでいるのは未来の自動車なんだよ

クルマが空を飛ぶ これって有り得ることなんだ

 

シーラカンス車

ほら 思ってもみてよ 自動車は真横には進めない

その場で180℃ターンして 方向展開できない

ワイパーはいつの時代も似たようなもので フロントガラスを一気にキレイにできない


ハンドルもシートも 外見も結局は 同じようなものに落ち着くじゃないか

つまり 進化できなくて止まっているんだ

 

男性のスーツみたいに不変のもの スタンダードから動かしようのないもの

それはね 時代のトレンドっていうものがあって

ボタンをシングルにするか ダブルにするか 細身のシルエットにするか等々

ゆるやかには 時代の流行と共に変わってゆくもの


アングロサクソンの典型的な顔立ちが 変わらないがごとく

稲穂の美しさが 古代から不変なごとく 車だって基本的には何も変わらない

まるで古代から生き残るシーラカンスのように

 

 

 

 

せめて ワイパーが進歩すればいいな

ボタンを押すだけで フロントガラスが一度で前面を拭えるように

せめて カーボデーが進歩すればいいな

運転席から右斜め前の視界を邪魔する骨組みをなくして 全てガラスにできればいい


でもそれって 例えばカブトガニが空を飛べばいいとか

ピンク色のシーラカンスがいればいい っていう無茶な願いと同類だったりして?!


空を飛ぶのは本来神の領域で 人がそれをすれば死が待っている

現代の科学では クローン人間を作り出すのは 技術的には可能になっているが

それに制止をかけているのは 人間のモラルだ


合理的利便性だけを追求する中でも 踏み込んではいけないものが必ずあって

人の最低限の理性を無視したら どんなしっぺ返しが待っているか分からない

 

自動車はシーラカンスなのだから 真横に歩けるわけがないよね

その場でターンできるわけもない

完璧なものを求めようとする心は 慢心の危険性をもはらんでいるのだよ


自動車エンジニアたちが 何十年かかっても到達できないのだから

それはできないこと

シーラカンスは進化を止めて落ち着いている

きっとあれが最善のカタチ 自動車もきっとあれが最善のカタチ

人の欲望は限りがなく醜いもの

人々は終焉を意識しないから いつ自然から終焉が言い渡されても 不思議ではない


節度を知るシーラカンスは 何千年も同型で生き永らえる

その謙虚さに永遠の奥行きがある

自動車はどうかな

きっと大きくは変化させないほうが 永遠に走ることができる


だから シーラカンス自動車を笑ったりせず 指差したりせず このまま泳がせたい

 

 




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