未来の自動車エネルギー

「車とは オイルに踊る バブルかな」

ひまつぶしというか 冷笑を込めてそんな下手な俳句を読んでいたら 未来に見つかった。

 

「何これ? 雑誌のキャッチコピー?」

落ち着ける所を探して会議室に隠れていたのに

編集の人に催促されたらしく未来が原稿の上がり具合を伺いに来た


「いや マジメな話ですよ 今急いで書いているところ」

「ならいいのよ 分かっているでしょ? 締め切りは明日の朝一番

忘れるような人じゃないと思うけど

今回の記事は未来車についての特集だから結構いいのを書かないとボツになるかもね」

 

「おどすなよ ボツなんかにされるなら最初から書かないさ

たまには後ろ向きの保守的な話を書いてみるよ

でも上手くまとまっているから誌面には載るさ」


そう言うと 未来は心配そうな表情で わたしの原稿を覗き込んでくる

「ええと これは未来の自動車エネルギーについてのお話ね 読んでみるわ」


未来の自動車エネルギーを考えようとしてみた

それがどうも良い方向に進んでゆかない

というのも 未来の自動車エネルギーには 政治がらみ・原油利権がらみのキナくさい話ばかりが 頭に浮かんでくるからだ


1970年代まで 車とエネルギーは 一体化していた

セブンシスターズ と呼ばれた欧米の7大メジャーが 原油を独占し

そこにぶら下がる形で 欧米の自動車メーカーが隆盛した

これは車とエネルギーが 同じ歩幅で成長していた時期 と言えるだろう

 

 

 


1980年前後からの中東の資源ナショナリズムを通して この流れに終焉が来たが

天然資源に頼っていた中東に 車を作る技術力はない

車は欧米から日本 エネルギーは中東やロシアやアメリカなど分布していった


そこから現代に至る情勢が固まってきて

今日では世界中で奪エネルギー競争が起こっている

これは未来にわたって当分続くだろう

世界各地での急速な経済発展を受けて エネルギー需要が高まってきている。


すると売り手市場になるものだから原油供給量の制限を逆手にとって原油価格を吊り上げたりもするし

決定的なのは 注目されるこの原油分野に マネーゲーム化した投機筋が利銭を稼ぐためだけに投資をつぎ込んで

それが原油価格高騰を引き起こしてしまうというということが出てきた

 

今や原油価格は オイルのサプライヤーが決めるのではない

ニューヨークやロンドン・東京やシンガポールの先物取引の数字が原油価格に反映される

投機家や金融市場というものが 原油やエネルギーの世界の支配者なのだ
ここでエネルギーと車の分野にはっきりと壁が生じた

もはやエネルギーと車は一体化ではなく

進むエネルギーに追いつこうとする未来の自動車だ


マネーゲームに使われる原油と生産地である中東・ロシア・中国・中南米の政治不安は揺れ動くエネルギーの不安定の波


だからエネルギーも原油 ガソリンだけじゃなくて

天然ガス・バイオエタノールというものにも 転換されてきている


自動車のエネルギーはどうだろう?

ガソリンよりと電気を合わせたハイブリッドカー 電気だけで走る電気自動車

天然ガスにバイオエタノール

それから太陽電池のソーラーカなんてものまで考えられてきていて

自動車とエネルギーの関係はシンプルではなくなってきている


思い切って書くならば 将来不安定なガソリンという夫に

この先も付いていって本当に大丈夫かどうか心配している自動車という妻だ
車のエネルギーは踊らされている エネルギーはマネーゲームに踊らされている

なんて危うい なんてもろい存在に 未来の自動車エネルギーはなっているのか

だから冷笑を込めて 俳句にしたためよう


「車とは オイルに踊る バブルかな」

 

「〜ということだったのね ケン」
「そういうことさ 未来 読んでみてどうかな?こんな固くて暗いネタが誌面に載ると思うかな?」
「はっきり言うわ ケン わたしは載らないと思う言いたいことには同調するけど

車の雑誌の読者は もっと楽しいことを求めているから」


「だろう? 僕もそうだとは思っていたんだ」
「だったら 別の話を書いて ボツはダメ」


「いや いいんだよ 自動車雑誌に載らなくてもこうしてこのネタはインターネットに載って配信される

それで見てくれる人がいれば この未来の自動車エネルギーのストーリーも満足

だからここに載せているのさ 未来!」

 

 




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